GoPro公式『Enduro vs Standard』充電時間 比較│レビュー
GoPro社が後出しリリースしてきた”エンデューロ“という新バッテリー。
その公式文言「撮影時間が向上」「充電時間も短縮」を検証中。
撮影時間を比べた過去記事は ⇒ こちら。
今回は充電時間を計ってみる。
充電テストの準備
1 充電機器
下記の充電アクセサリーで充電する。
バッテリーは残量1%でほぼ空の状態。
- 充電器・・・GoPro公式 Super Charger Type-Cポート
- 充電ケーブル・・・GoPro純正 USB-Cケーブル
- 充電スタンド・・・GoPro公式 Dualバッテリーチャージャー
- マルチメータ・・・TC66
2 環境
気温は24℃、湿度は50%(約)。
室内無風状態にて。
3 Dualバッテリーチャージャーについて
デュアルバッテリーチャージャー(以下 DBチャージャー)には、デュアルの名の通り、充電する挿し込み口が2か所ある。
2本同時充電する場合はしかたないが、1本のみを充電する場合ちょっと気にしておいた方が良い事がある、
それは、2口ある充電口の電流に違いがあるということ。
マルチメータで計ってみると、僅かではあるが差が出る。
例えば下写真の例。
向かって上側の充電電流値は1.90557A。
向かって下の充電電流値は1.91402Aで、+0.00845Aの差がある。
※DBチャージャーをGoProのSuper Chargerに接続
初めは誤差だろうと思っていたが、複数のリチウムイオンバッテリーを繰り返しテストしても、はやり下側の充電口の方が少しだけ電流値が高い。
上側は1.93019A、下側は1.94728Aで その差は+0.01709A。
※DBチャージャーをRAVpowerのPC133に接続
およそ0.01Aの差は大きいのか小さいのか。
ちなみに0.01Aは10mAなので、1時間後には10mAhの差が付くことになる。
(実際には一定ではないが)
この電流差が個体差の現象かどうかは判らない。
Standardバッテリーの充電
1 マルチメータの準備
Enduroバッテリーの比較対象として、先に標準バッテリーの充電をしておく。
バッテリー残量は1%(GoPro HERO10表示)。
全容量1720mAhから計算すると、1%は17mAhほど残っている状態。
満充電にするためには、1720-17=1703mAhの充電が必要と推算。
1703mAh (約99%)を充電完了の目標として充電容量を監視していくことにする。
マルチメータTC66はDBチャージャーの入力端子に配置。
TC66の充電容量計を「0000mAh」にリセットして準備完了。
今回テストでは、電流値の大きい方の充電ポートにバッテリーを装着した。
2 充電
1)10分経過
充電量は317mAh、1720mAhに対して18.4%。
2)20分経過
充電量は506mAh、1720mAhに対して29.4%。
3)30分経過
充電量は813mAh、1720mAhに対して47.3%。
4)40分経過
充電量は1045mAh、1720mAhに対して60.8%。
5)50分経過
45分あたりから、電流値が1Aに落ち始めた。
充電量は1251mAh、1720mAhに対して72.3%。
6)60分経過
充電量は1390mAh、1720mAhに対して80.1%。
7)80分経過
充電量は1545mAh、1720mAhに対して89.8%。
8)100分経過
充電量は1629mAh、1720mAhに対して94.7%。
9)充電終了サイン
118分時点で、充電終了を知らせる緑LEDが点灯。
充電量は1682mAh、1720mAhに対して97.8%。
満充電の目標「1703mAh」にまだ達していないので、このまま充電を続ける。
すでに微電流になっているので、充電速度は極端に遅くなっている。
10)1700mAh
132分経過して、ようやく充電容量が1700mを超えた。
135分で1703mAh。
Enduroバッテリーの充電
1 準備
Enduroバッテリーの充電をする。
Enduroバッテリーも容量は同じく1720mAh。
バッテリー残量1%なので、計算上約17mAh残っている状態。
満充電にするには、同様に1720-17=1703mAhの充電が必要と想われる。
Enduroも、1703mAh (約99%)を充電完了の目標とする。
マルチメータTC66はDualバッテリーチャージャーの入力端子に配置。
TC66の充電容量計を「0000mAh」にリセットして準備完了。
2 充電
1)10分経過
充電量は306mAh、1720mAhに対して17.8%。
2)20分経過
充電量は602mAh、1720mAhに対して35.0%。
3)30分経過
充電量は825mAh、1720mAhに対して48.0%。
4)40分経過
充電量は1052mAh、1720mAhに対して61.2%。
5)50分経過
充電量は1278mAh、1720mAhに対して74.3%。
6)60分経過
充電量は1425mAh、1720mAhに対して82.8%。
7)80分経過
充電量は1566mAh、1720mAhに対して91.0%。
8)100分経過
充電量は1635mAh、1720mAhに対して95.0%。
9)充電終了サイン
105分時点で、充電終了を知らせる緑LEDが点灯。
充電量は1649mAh、1720mAhに対して95.9%。
満充電の目標「1703mAh」にまだ達していないので、このまま充電を続ける。
10)1700mAh
145分経過して、ようやく充電容量が1700mAhを超えた。
147分で1703mAh。
まとめ
1 充電テスト結果
充電経過時間と充電容量をまとめた表。
Enduro | バッテリー | Standard | バッテリー | |
経過時間(分) | 容量(mAh) | 比率(%) | 容量(mAh) | 比率(%) |
10 | 306 | 17.8 | 317 | 18.4 |
20 | 602 | 35.0 | 506 | 29.4 |
30 | 825 | 48.0 | 813 | 47.3 |
40 | 1052 | 61.2 | 1045 | 60.8 |
50 | 1278 | 74.3 | 1251 | 72.7 |
60 | 1425 | 82.8 | 1390 | 80.8 |
70 | 1511 | 87.8 | 1483 | 86.2 |
80 | 1566 | 91.0 | 1545 | 89.8 |
90 | 1605 | 93.3 | 1592 | 92.6 |
100 | 1635 | 95.1 | 1629 | 94.7 |
105 | 1649 | 95.9 | - | - |
110 | - | - | 1659 | 96.5 |
118 | - | - | 1682 | 97.8 |
120 |
1669 | 97.0 | 1683 | 97.8 |
132 | - | - | 1700 | 98.8 |
135 | - | - | 1703 | 99.0 |
145 | 1700 | 98.8 | ||
147 |
1703 | 99.0 |
※ はDualバッテリーチャジャーの緑LED(満充電サイン)が点灯した時間
2 性能アップの判定
GoPro公式サイトによれば、Enduroバッテリーの充電時間は「フル充電まで最大13%短縮」されているとのことである。
ただこの「フル充電」の意味によって、判断は少し変わってくる。
1)DBチャージャーの満充電サインを基準にした場合
DBチャージャーには、充電終了を知らせるLED(緑)インジケータがある。
この充電終了サインまでの時間がEnduroバッテリー105分、標準は118分。
その差13分で、およそ11%の短縮されている。
しかしちょっと問題がある。
マルチメータの値で見ると、満充電サイン時の充電容量が違う。
Enduro95.9%でLED点灯、標準は97.8%でLED点灯。
同じ充電容量で点灯していないのである。
この理由がよく判らない。
2)実際の充電容量(99%)を基準にした場合
充電容量での満充電を計ると、Enduroは147分、標準は134分だった。
その差13分、Enduroの方が約10%の長く時間がかかった。
実は、容量比の95~96%位まではEnduroバッテリーの方が速い。
しかしそれ以降、99%になるまでは標準バッテリーに逆転され遅くなった。
この差の意味は?
試用したバッテリー個体差なのか、またはTC66マルチメータの計測誤差なのか。
よく解らない。
誤差かも知れないので念のため、同じバッテリーで2回ずつテストをしてみた。
Total時間に少し違いはあったものの、1700mAhを超えるまでの時間は、やはり標準バッテリーの方が早かった。
3)判定
さてこれらをどう判断すれば良いのか。
公式のいう「フル充電」が充電器のLEDとするなら、確かに約10%短縮である。
しかし満充電100%ではない。
そこを「ほぼフル充電」と読み替えるのなら、わずかに早いと言えなくもない。
3 まとめ感想
Enduroバッテリーの撮影時間は、標準バッテリーより確かに伸びた。
こないだの実験でも50分以上も持続した。
DBチャージャーの充電終了LEDがおよそ95%で点灯するが、その95%までなら標準バッテリーよりやや速い。
ちなみに、リチウムイオンバッテリーは過放電と過充電にとても弱いらしい。
100%以上の過充電を避けるため、あえて95%で満充電サインを出しているのかも知れない。 ※公式には見当たらず
ということで結論。
撮影時間と充電時間を総合的に見れば、性能アップは確かなようである。
撮影時間が長いのはやはりありがたい。
これからあえて標準バッテリーを選ぶ理由もなさそうなので、Enduroに切り替えていくことにする。