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スポンジパイプ│スポンジカバー『三脚プロテクター』装着方法
久しぶり新調したSLIKの三脚。
カーボン製の三脚はその繊維の織り模様が美しい。

ⒸSLIK
しかしSLIKに限らずカーボン素材の表面はとても傷がつきやすい。
SLIK三脚にも最初からプロテクター(スポンジ)装着モデルもあるが、この933はカーボン素材が剥き出し。
なるべく傷を付けたくない!
ということで、自分で”傷対策”をすることにした。
中型カーボン三脚 933
この三脚 SLIKは望遠鏡機材などを作る日本企業で製造もmaide in Japan。
カメラ用に関しては、900番台が32mmΦ、800番台が28mmΦ、700番台が25mmΦ というシリーズ展開をしている。
良い三脚は国内外にいろいろあるのだけれど、質素なデザイン?と高くない日本製なところを気に入って長く愛用している。
開封
今回は中堅三脚の入れ替えをしたくて『カーボンマスター933』を導入。
蓋を開けると三脚ケースと付属品の入ったビニル袋。
付属品は左から、
SLIKロゴ入りのストーンバッグ、脚先の石突スパイク、ローポジション用ショートエレベータ、六角レンチとネジ一式。そして説明書と保証書。
写真⇩ WOH(without)版なので、雲台は入っていない。
カーボン脚を保護する方法
せっかく買った三脚なので、新品の状態から保護しておいてやりたい。
カーボン脚の保護には以下の2通りがたぶん主流。
1.グリップテープを巻く方法
2.スポンジ製カバーをかぶせる方法
ラケットのグリップや自転車ハンドルのバーテープの様な“テーピングスタイル”もスマートで良いのだが、スポンジの”クッション性”に期待して、今回はスポンジ製カバーを採用。
1 SLIK933 仕様
脚径:32mm
段数:3
伸縮:縮長708mm~全高1590mm(エレベータ最下)
ELV:ラックピニオン式
重量:2300g
耐荷重:7kg
同クラス(=32mmΦ径)アルミ製の三脚が3290gなので、比較すると約1kg軽量化されているモデルになる。
2 SLIK933 脚サイズ
1本の脚にはSLIKのロゴがプリントされている。
スポンジカバーを被せれば当然、見えなくなる。
カーボン脚パイプの太さは公表値通りの32mmΦ。
脚の1段目(一番上)の長さは約495mm。 ※ロックナット除く
3 スポンジパイプの選択
脚径が32mmなので、これに被せるスポンジは少し細め≒内径30mm位が最適。
因みに、脚が28mmΦの場合は内径24-5mmを、脚が25mmΦの場合は内径22mmあたりを選ぶ。
写真⇩ こちらは『スポンジカバー』の名称で売られているHIKARIの製品。
品番はSGB-330 。内径29mm×長さ360mm。
できれば長さは「495mm」欲しいところだがちょうど良いモノが無く、一番近い製品は360mmになる。
つまり約135mmほどスポンジ無しの部分ができるが、我慢。
「長いスポンジパイプを買って切ればいいのでは?」
もちろんそれでも良いけど、スポンジパイプを手作業で”垂直”に切るのは超困難。
切断面が平らにならず見た目が汚くなるし、面取り加工も素人には難しい。
脚を3本ともカバーしたいので、3本を揃える。
スポンジカバー1本の重さは約37g。
3本で111gの重量増にはなる。
スポンジカバーの取り付け
1 ロックナットの分解
スポンジカバーを被せるには、まず伸縮ロックナットを分解して外す必要がある。
最上段のロックナット(赤い矢印)を緩めていく。
どんどん緩めていくと、青いアルミカラーのパーツが見えてくる。
更に緩めると、青いアルミカラーからロックナットが外れフリー状態になる。
ロックナットが外れたら、ゆっくりと2段目以降ののカーボン脚を引き抜く。
すると、2段目の脚と共に王冠のような形の“ナットリング(白色)”が出てくる。
さらに引き抜くと、奥から“抜け止めコマ”と呼ばれる黒いパーツが出てくる。
半筒状で、2つが1対になっている。
後で組み戻すことになるので、どんな感じでパーツが装着されているか観察しながら(できれば写真を撮りながら)分解していく。
2 スポンジカバーの取付手順
ロックナットと2段目以降の脚を外したら、スポンジパイプを装着する。
写真⇩ 左が内径29mmΦのスポンジカバー、右がアルミ製カラー。
1)アルミ製ネジの養生
青いアルミカラーの先端からスポンジカバーを入れていくが、このネジ部分は脚の32mmΦより一回り太く、ネジ山のギザギザも抵抗が大きい。
なので、予めネジ部分を滑りやすくするため、ビニルテープやビニル袋の端など巻いて凹凸を減らしておくと作業がしやすい。
カーボンパイプの内側を保護するためにも、ビニルの端は折り込んでおく。
2)シリコンスプレー
更ににテープ部分にシリコンスプレーを塗布しておくと、作業性があがる。
シリコンスプレーは「ゴムやプラスチックに使用可」と明記されているものを。
スポンジカバーを侵してしまっては意味がない。
3)水分に注意
湿度が高い日など、スポンジカバー自体がが湿気を帯びていると滑りにくい。
カバーを完全に乾燥させた状態にしてから作業する。
もちろんカーボン脚側も水分が無いよう完全に乾燥させておく。
4)装着要領
まずはアルミカラーの先端の全周にスポンジカバーを差し込む。
少しずつ押し込んでいくが、青いアルミ製カラーを通り過ぎるまでが力が要る。
アルミ製カラーを超えたら、スポンジの伸縮性を利用して、初めは縮めるように、たぐりながら押し込む。
押し込んだ分だけ、反対側(雲台側)のスポンジを伸ばすように引っ張る。
一気に進めることは無理なので少しずつ少しずつ。
2-3cmくらいずつ進める感覚で、これを繰り返す。
入りにくい時は、直線的に力を入れるより色んな方向に傾け押し込んでみる。
なかなか入らないからと強引に回してねじ込んではダメ。
やはりスポンジなので、無理をすると破れてしまう。
難関のアルミ製ネジの部分をクリアすれば後はラク。
脚に入りきったら、シワや捻じれを整えて戻す。
5)カバーの位置
スポンジカバーをどの位置に収めるかは好み次第。
上端まで被せず、開脚ストッパーとの間に一定の隙間をもたせておくのもアリ。
上端までピッタリ揃えるとこんな感じ。
こうすると、下部に約135mmほどが露出部分になる(360mmスポンジの場合)。
3 内部パーツ(リングとコマ)の組み立て
アルミ製カラーのネジ部分にはテープ糊など付着しているので、脱脂クリーナーやエアブロウ缶などで掃除しておく。
また、油分やシリコンスプレーが付着していると、ロックナット機構が効かなくなる恐れもあるので、特にアルミ製カラーの内面は丁寧にクリーニングする。
1.ナットリングをはめる
王冠型をした白いプラスチックのパーツが“ナットリング”。
2つで1組になっているので、噛み合うように向きを揃える。
2.抜け止めコマをはめる
半円筒形をした黒いプラスチックのパーツが“抜け止めコマ”。
よく見ると内側に凸状の突起(ツメ)があるのが判る。
この凸ツメを2段目カーボン脚の四角の穴に合わせて、抜け止めコマを組み付ける。
3.1段目と2段目の組み立て
1段目の脚パイプ内を見ると、2本の凸型レールがある。
この凸型レールと抜け止めコマの間にある凹み“溝”を合致させたまま、2段目カーボン脚を差し込まなければならない。
抜け止めコマは外れやすいので、溝を合わせながら差し込むのがなかなか難しい。
凸レールと溝を合わせていると抜け止めコマが外れ、抜け止めコマを保持に集中していると凸レールと溝がちっとも噛み合わない。
4.抜け止めコマを付けるコツ
慣れるまで時間がかかってしまったが、ちょっとしたコツを発見した。
2段目カーボン脚の中には3段目(最下段)のカーボン脚があるが、2段目の四角穴に3段目のカーボン脚が見えていると、抜け止めコマが外れやすいことが判明。
(たぶん抜け止めコマのツメを中の2段目カーボン面が押しあげてしまうから?)
写真⇩ 矢印部分の中に3段目パイプが見えている。
そこで、四角穴からカーボンパイプが見えなくなるまで3段目を引き抜いてから作業する。
そうすることで抜け止めコマのツメがしっかり四角穴にはまり、外れにくくなる。
それが判ってからは、1段目+2段目の組み立てがやり易くなった。
4 ロックナットの復元
後はカンタン。
ロックリング(白)をアルミ製ネジの傍までスライドさせて、
ロックナットを元の様に締め込むだけ。
同じ要領で、2本目3本目の脚にもスポンジカバーを被せていく。
5 取り付け完了
3本ともスポンジカバーを取り付けた様子。
※白い帯は整理タグ
折りたたんだ状態のカーボンマスター933。
スポンジカバー装着の933(上)と未装着の933(下)。
まとめ
並べてみると、カーボン模様が見えてる素材のままの方がスマートでカッコ良い。
しかし貧乏性には傷付くのが耐えられないので仕方がない。
スポンジカバーを装着することで、副次的効果もある。
1.三脚を持ち運ぶときに滑りにくく握りやすい
2.肩にかついぐ場合にも当たりが柔らかい
3.エレベータストッパーからの傷も防げる
3番目の“エレベータ・ストッパー”とは、三脚のアセンターにあるエレベータ・ポール先端にある抜け止め金具(写真のシルバー色)のこと。
三脚を折り畳んだ時、これがカーボン脚の内側に接触してしまうことが多々ある。
注意深く折りたためばよいのだが、知らず知らずのうち当たり傷はついてしまう。
しかし脚にスポンジカバーを装着していれば、それを防げる。
精神的にも安心なのである。