Device│UPS『サイバーパワー CP1200 PFCLCD』電力の基礎│UPSの基礎
工作室のPCを入れ替えてはや幾年。
ほぼ落ち着いてきた環境だが1つだけ後回しにしてしまっているモノがある。
それは停電対策。
今回ようやく『無停電電源装置』を導入した。

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無停電電源装置とは
UPSは“バックアップバッテリー”などとも呼ばれ、落雷による過電流“サージ”やアクシデントによる停電があっても一定時間の電力を維持し電源落ちを回避することができる装置。
無停電電源装置の種類
1 方式の種類
まずは基本から勉強してみた。
USPの電源供給方式は、大きく3つに分けられるとのこと。
・常時インバータ方式…常時DCACインバータを経由し高信頼なVAを維持できる
用途:サーバルーム・公共施設など
・ラインインタラクティブ方式…通常時からAVR経由で電圧変化に対応し停電後も供給
用途:一般PC・ネットワークなど
※AVR=自動電圧調整機能
・常時商用電源方式…通常はコンセト通電し停電時のみバッテリーに切り替える
用途:防犯カメラ・スイッチ系など
※瞬間に停電発生
この3つは下記の順で高性能になる ➡ 高性能
常時商用電源方式<インタラクティブ方式<常時インバータ方式
そして価格も同じ順番で高くなる傾向にある。
(構造が複雑になっていくため)
2 数字の意味
無停電電源装置(UPS)のカタログ等を見ていると、たいてい2つの数値が書かれていることに気づく。
「VA」と「W」である。
見覚えがあるようなないような、この2つの意味は何なのか?
知識のある方には何を今さらなことかも知れないが、初心者(自分)には解りにくい部分だったので、素人目線でいろいろ調べてみた。
1.VAとWの意味
VやWと見ると「ボルト」と「ワット」のことかな?とまずは思う。
昔「W(ワット)=V(ボルト)×A(アンペア)」と習った記憶もある。
しかしVA=Wではなく、交流では次のような意味になるらしい。
W(ワット)=有効電力:機器が実際に消費して仕事に使う電力
VA(ボルトアンペア)=皮相電力:回路に流れている見かけ上の電力の大きさ
どういうことか?
交流の場合、流した電気の分だけ機器が使うわけではない「効率」が発生する。
この理由から、V×A=W(ワット)にはならないというのだ。
例えばPCに当てはめてみると、
W(有効電力)はPC内の機器を動かすための実際の有効電力
VA(皮相電力)は「PCが使う電力(W)」+「使わない電力(VAR)」の合計
ということになる。
VAR?
「VAR(バール)」とは無効電力のことで、交流特有のもの。
コンセントと電気機器の間を行ったり来たりする(無駄にも見える)電力をさす。
※ちなみに式にすると VA²=W²+VAR² らしいが…見なかったことにする
ここまでがまず第一難関だった。
2.UPSにおけるVAとW
UPS(無停電電源装置)においても、UPS内部で「実際に使われる電力(W)」と「回路上にあっても使われない電力(VAR)」がある、ということになる。
このような理由もあって、UPSの機種にはVA値とW電力が併記されている。
皮相電力(VA)=電圧(V) × 電流(A)
有効電力(W) =皮相電力×力率=電圧(V) × 電流(A) × 力率
3.力率
ここで出てきた「力率」について。
「力率」とはVAに対するWの比率、つまり電気利用効率のことを指す。
0.1~1.0の数字で表され、力率が高いほど(1.0に近いほど)無駄のない高効率の機器ということになる。
仮にUPSから流れてくる電力を全て受け取れる(消費する)“効率の高い機器”なら「力率は100%」。
しかし100%の機器はまず無くて、たいていは数%~数十% になることがほとんどである。
※VAは必ずW以上の値となる 0<力率≦1.0
4.VAとWの例
調べほどにややこしくなるVAとW。
「結局W数なんだから合計して大きめのUPSを選んでOKでは?」
といいたくなる。
それでいいのかも知れないが、こんな事例も見つけた。
例1:一般家庭ブレーカ
例えば家の契約電流が40Aとする。
その40A以内で電化製品を使っていたつもりで、電子レンジやエアコン等を同時使用したらブレーカが落ちてしまって驚くことがある。
範囲内のはずなのになぜ?
これはアンペア合計ではなく、VA値の上限を超えてしまうのが原因。
家電の中には力率の低い製品も混じっているので、見掛け40A以内と思っていても実際にはそれを超える電流が流れることがある。
契約電流40Aは計算上 100V×40A=4000W ではあるが、4000VAではないのである。
例2:ポータブル発電機
ポータブル発電機などには必ず(電気用品安全法など)VA値が表示されていたりするが、その数字を勘違いして失敗してしまうこともある。
例えば表示が500VAの発電機。
使える最大アンペアは計算上は 500VA÷100V=5A になる。
5Aまでなら大丈夫と冷蔵庫や電動工具などモーターがある家電をつないでしまうと、知らずに大きなVA値がかかってしまい動かないことがある。
これも力率が関係していて、5A max使えるのは力率1.0(PFC付など)高効率の製品のみ。
そんな高効率品だけをつなぐはずもなく、知らずに低い力率(例えば0.6の)電化製品ばかり5A分つないだりすると、5A÷0.6×100V=833.3VAになり上限500VAを超えてしまい動かないわけである。
つまり知るほど面倒な話ではあるが、完全無視もできないということのようだ・・・。
無停電電源装置の計算
気を取り直して。
UPS(無停電電源装置)のモデル容量を選ぶためには、必要な電力を知らないと始まらない。
PCを動かせば当然、モニタやHUBやルータなど周辺機器を幾つも同時に使うことになる。
そこで、UPSにつなぐ予定のPCと周辺機器の消費電力や力率を判る範囲で調べた。
ここでは仕様書上の値である。
1 PCの電力と力率
負荷は3段階を想定した。
「通常時」はOffice系などの軽作業、
「高負荷」はエンコードやAIを使うGPU重作業、
「ピーク」はCPUもGPUもフル稼働する3Dレンダリングなどの作業。
【PC内電力値 ➡ コンセント負荷(VA) 換算表】
| 消費電力 | PSU ※1
補正係数 |
力率 | 皮相電力 | UPS ※2
補正係数 |
総VA値 | |
| PC通常時 | 100~180W | 1.11 | 1.11 | 120〜230 | 1.14 | 140~250 |
| PC高負荷 | 550~800W | 1.11 | 1.11 | 680~990 | 1.14 | 780~1130 |
| PCピーク | 700~900W | 1.11 | 1.11 | 860~1110 | 1.14 | 980~1270 |
| モニタ | 32~60W | 1.11 | 67 | 1.14 | 76 | |
| ルータ | 平均約23W | 1.67 | 38 | 1.14 | 44 | |
| USB機器等 | 35W+25W | 1.67 | 100 | オフ | 0 | |
| 通常時合計 | 323W | 435 | 260~370 | |||
| 高負荷合計 | 943W | 1195 | 900~1250 | |||
| ピーク合計 | 1043W | 1315 | 1100~1380 |
※1:PSU補正係数はhp製PC電源(80+GOLD仕様 Active PFC付)の力率0.88~0.93から0.90として1÷0.90≒1.11で計算
※2:UPS補正係数は一般的なUSP電気効率0.85~0.90から0.88として1÷0.88=1.14で計算
※ルータのACアダプタは力率不明だったが非PFCのため力率0.5~0.8からの0.6として1÷0.60=1.67
数値は概算式による。
皮相電力(VA)=PC内電力×1.11(PSU効率の逆数)×1.11(PC力率の逆数)× 1.14(UPS効率の仮定の逆数)
2 周辺機器の電力と力率
モニタやルータなどPCと同時起動させる周辺機器についての補足。
1.モニタ(EIZO EV32xx系)について
消費電力は約32~163W(最大)。
画面背景が白いほど&輝度が明るいほど消費電力が上がる。
しかし基本的にダークモードで輝度も50~60%ほどにしか上げない使い方。
またUSB給電も使用しないので消費電力は最大でも60Wと仮定。
力率は公表されていないがスイッチング電源でENERGY STAR対応などから力率0.9と推測。
2.ルータ(Aterm AT11000系)について
消費電力は約20~38W(最大)。
PCは有線接続。
クセスポイントとしてスマホなど数台程度のWi-Fiのみなので25Wと仮定。
力率は公表されていないが一般的なACアダプタが0.6~0.7あたりらしいので安全を見て0.6とした。
3.その他
USB機器にはスピーカー等を使用しているが、常時ではないのでVA/W計算から外すことができる。
常時通電のHUBはスタンバイ状態で+5Wを見込んだ。
無停電電源装置の心得
だいたいの機器のVA値とW値がまとまった。
ここからはUPS本体の選択条件や注意事項について。
1 条件
1.絶対条件
- 出力波形が正弦波であること・・・アクティブPFC電源には必ず
- VA値とW値が定格内にあること・・・上記の通りVAとWを計算
- ラインインタラクティブ方式であること・・・PC保護には必須
『ラインインタラクティブ方式』以上でなければならない理由は、瞬間的な停電でも避けなければならないから。
一瞬の停電でもPCのデータは飛んでしまったりする。
安価な『常時商用方式』は停電からの切り替え時にこの“瞬断”が起きてしまうため、データ保護という目的を果たすことができない。
また機種によっていろいろ便利な機能が装備されている。
2.推奨条件
- 自動シャットダウン機能・・・停電感知後にPCを安シャットダウンするソフト
- コールドスタート機能・・・停電中でもUPS電源を入れてPCを一時的に起動できる
- 情報表示ディスプレイ・・・現在の消費電力やバッテリー残時間などを表示する画面
- AVR自動電圧調整・・・不安定な低電圧時にもバッテリーを使わずトランス電圧で補正
個人的には無人で稼働させていた場合を想定して、自動シャットダウン機能は便利かと思う。
2 寿命
無停電電源装置は内部に蓄電バッテリーを備えている。
UPS仕様書にあるバッテリー容量なども、当然ながら新品での数値。
新品を購入しても、使用を始めると内臓電池はどんどん劣化していく。
仮に「内臓電池寿命およそ5年」と取説に書かれていても、新品の性能が5年続くわけではない。
寿命の5年を待たずに早いサイクルで電池交換をするのが理想らしいが、そうじゃない場合、使い続けられる分だけ電力容量(VAやW)に余裕を持たせないといけないということになる。
因みにメーカーではおよそ2倍を見込んで容量を選ぶようアドバイスしている。
3 コンセント
UPSに装備されたコンセント口には、接続する機器についての幾つかの注意点がある。
1.コンセントタップ
基本的にUPSに多口コンセントタップをつないではいけない。
UPSに挿したコンセントタップに、例え一時的にでも他の機器を挿したり抜いたりすることがあると、オーバーロード負荷がかかってUPSの保護機能が働いてしまったり、発熱や発火の危険性があがるためである。
絶対に抜き差しをしない機器を正確に容量管理した上でつなぐのであれば良いのかも知れないが、あくまで自己責任となる。
2.雷サージ機能
雷サージ機能を持つものをUPSの2次側コンセントにつないではいけない。
停電時の電圧変動などがあると雷サージ機能が誤動作し、それを拾ってUPSが不安定になったり故障原因になることがあるためである。
4 選定
さてここまで調べたうえで、具体的にどうUPSを選べばよいのか。
簡単に言ってしまえば定格容量の大きい方が良いに決まっている。
しかし予算というものがあるので、高出力・高機能ならどれでもいい訳ではない。
1.PC+周辺機器
上記の表から自機PCの消費電力(W)と皮相電力(VA)をまとめてみる。
1)PCと周辺機器の消費電力について
Office系など軽い作業では、max約323W。
GPUに高負荷をかける作業では、max約943W。
CPUとGPUが同時にフル稼働する場合、max約1043Wほどにもなる。
2)UPSにかかる皮相電力について
Office系など軽作業では260~370VA。
GPUに高負荷な作業では900~1250VA。
CPU/GPUフル稼働では1100~1380VA。
さて、これらの予測値からどう判断するか。
CPUとGPUがフル稼働する作業を常時することはまずない(予定)。
日常的には軽負荷がほとんどなのだが、高まりつつあるAIによる電力負荷も考えておきたい。
間を取れば高負荷時を想定した、消費電力943W/皮相電力1250VAになるのだろうか。
とりあえずは、消費電力1043w/皮相電力1380VAをカバーできる機種から見てみる。
2.UPS主要メーカー
UPSで有名な3社の特徴と1500VAクラス機種を比べてみた。
| 項目 | APC | オムロン | CyberPower |
|---|---|---|---|
| 本社国 | 元アメリカ→現フランス | 日本 | 台湾 |
| 親会社 | Schneider Electric (2007~) | オムロン | Cyber Power Systems |
| UPS事業歴 | 1990年頃~ | 2000年頃~ | 1997年頃~ |
| 主市場 | 法人向データセンター | 企業 官公庁 | SOHO ゲーミング |
| メイン | ラインインタラクティブ | 常時インバータ | ラインインタラクティブ |
| ノイズ特性 | 高い | 非常に高い | 普通 |
| 出力安定性 | 非常に安定 | 業務レベル | 安定 |
| 1500VA機 | BR1500GI など
1500VA/865W |
BU150SW など
1500VA/1050W |
CP1500PFC など
1500VA/1000W |
| 発熱量 | 低い | 高い | やや低い |
| 動作音 | 約45dB | 約45~50dB | 約35~40dB |
| 待機電力 | 10W | 30~60W | 10~20W |
| バッテリ寿命 | 3~5年 | 4~5年 | 3~5年 |

オムロンは安心の日本企業でサーバー用がメイン。
BU150SWも常時インバータ方式になる。
機能性や安定性では確実に上位だが、常時インバータ方式は安定性と引き換えに消費電力が高く、発熱量やファン動作音も相当なもの。
常時暖房機を抱えている様なもので、個人使用には金銭的にも負担が多すぎる気がする。
APCもサーバーで実績があるメーカーだが、一般向けのBR1500GIは10数年前の古い設計。
現状、国内市場にあまり出回っていないのも懸念材料。
保証期間中に壊れることは滅多にないのは強みだが、壊れたときのメーカー対応は塩らしい。(噂)
それを承知の上でなら、安定性の点から第一候補にしても良いのかも知れない。
CyberPowerは、APCよりは設計が新しめで付加機能も多め。
コスパが良いのでユーザーも多いが、一部で停電時の切り替えに失敗=電源落ち事例も報告されている。
(CP1500系やCP1350系)
無停電電源装置なのに落ちてしまっては意味が無いが、バッテリー劣化や負荷オーバーなどの原因が重なると起こることがあるらしい。
しかし数年無事故のユーザーもいるので、一概に当たりはずれがあるとも言い切れない。
総合的には、APCかCyberPowerというところになりそうだが悩みどころである。
| 観点 | APC | CyberPower |
|---|---|---|
| 信頼性 | ◎(サーバー実績多) | ○(過負荷時にPC電源落ち) |
| コスパ | △(同クラス割高) | ◎(同クラス高出力) |
| 機能性 | ○ | ◎(機能多) |
| 静音性 | ○ | ◎ |
| 業務適性 | ◎(法人サポート良) | ○(拡張性低い) |
| 家庭適性 | ○(個人サポート×) | ◎ |
| バッテリーコスト
10年使用想定 |
△
2~5万円 |
◎
1.5~4万円 |



