ヘルス家電『CITIZEN THM527 温湿度計』防雨ボックスの製作
前回の『CITIZEN THM527 温湿度計』開封│レビュー のつづき。
子機センサー(TR-THM527)を屋外に設置する。
「防滴IPX3」という仕様は垂直から左右60度以内の降雨までを想定しているとのこと。
でもセンサーに吹き込むほどの強風雨には対応していないし直射日光も避けなければいけない。
例え日陰でも子機をそのまま屋外放置ではやはり心配。

そんなわけで今回、先人方々の工夫を参考に『子機用防雨ボックス』を作ることにした。
子機用ボックスの選定
1 条件
- 加工がしやすいプラスチック製
- できれば中が確認できる透明窓つき
- 防滴仕様
- ボックス本体の固定が簡単
- お値打ち
2 防雨スイッチボックス
選んだのは未来工業の『ウオルボックスCWB-DM』という製品。
特徴は、
- 本体材質:プラスチック(ABS)製
- 色:ミルキーホワイト
- ボックス寸法:縦193mm 横117mm 深さ90mm 板厚2mm
- 有効深さ:55~65mm(中央)
- 内板材質:プラ製 縦120mm 横80mm 厚15mm
- ノック孔:背面と下部(未開口)

©未来工業
決め手になったのは、
1⃣ 正面が透明な蓋になっていること
2⃣ プラスチック製で加工がしやすそうなこと
3⃣ 目立ちにくい地味系な色だったこと …など
子機用ボックスの製作
1 ウオルボックスの概要
1.外観
DM型とはタテ置きでミディアムサイズ、というような意味らしい。

内容は、本体と責任者ステッカーが1枚。

正面の蓋は透明な茶系スモーク。

蝶番は右側にある。反対側(左)に変えることは不可。

中のプラスチック基盤は外すことができる。

2.サイズ
ボックスの内法は(約) 縦154×横81mm。

本体の深さは55mm。

3.子機の収まり
子機の外寸は、横66×縦120mm。

ボックスに収めた感じ。

ボックス内寸81mm(幅)に子機66mm(幅)なので、左右の余裕は7.5mmずつしかない。
ちょっと余裕が無さ過ぎかと思ったがそのまま進める。

子機をこの基盤に直置きした場合、ボックス上端まで約23-24mmの空間あり。

2 ウオルボックスの換気
ウオルボックスは簡易防滴仕様、密閉度が高く通気性はほぼ無い。
元々スイッチなどを保護する箱なので当たり前。
だがそのままでは外気を計る“百葉箱”代わりには適さないので、風が通り抜けられるような通気機能を設けてやる必要がある。
そんな用途のためにウオルボックス製造元の未来工業からも“ウオルボックス用ルーバー”という通気孔パーツが用意されている。
1.ウオルボックス用ルーバーとは
主な特徴は次の通り。
- 放熱・換気をする目的のオプションパーツ
- 直接の雨を防ぐパッキン付き
- ルーバーには埃などを防ぐフィルター機能
- ウオルボックスと同色のミルキーホワイト …など
2.ウオルボックス用ルーバーの種類
探した時点で、未来工業のウオルボックス用ルーバーのサイズは2種類ある。
WB-L34・・・φ34-36mm 板厚2~4mm用 有効開口面積は 約4.7㎠
WB-L27・・・φ27-28mm 板厚2~4mm用 有効開口面積は 約2.5㎠

大きい方が通気性は良さげだが、実際の収まり具合を確かめないといけない。
1)WB-L34
先ず大きい方のWB-34から試す。

1袋に2コ入り。ルーバー、パッキン、ロックナットの3点パーツ。

ルーバーの挿入径は約33mm。

ツバ部分の外径は約40mm。

ロックナットの外径は約44mm。

ウオルボックスの側面に仮置きしてみるとこんな感じになる。

問題は内部の収まり。
内にあるプラ基盤の厚さが15mm、ロックナットの外径が44mm。つまり足すと高さ59mmになってしまうので、左右にルーバーを並べて子機を入れるのは無理。

仮にプラ基盤を外せば箱の深さは55mmになる。
しかし径44mmのロックナットを締めこむ余裕を見込めば50mmくらい必要で、引き算すると5mmくらいの余裕しか残らない。

側面がダメなら(推奨されていないが)ボックス天板に取り付けられるか、

ボックス底面に付けられないかも検討したが、どちらも無理があった。

結果このCBW-DMには外径の大きいWB-L34は不向きと判断した。
2)WB-L27
ならば、次は径の小さいWB-L27。

サイズが違うだけでパーツ構成は同じになっている。

ルーバーの挿入径は約27mm。

ツバ部分の外径は約32mm。

ロックナットの外径は約31mm、WB-L34よりも13mm小径。

WB-L27でもボックス内壁と子機の隙間に余裕はなく、左右に収まらないのは同じ。

中のプラ基盤があると深さも足りない。

しかしプラ基盤(厚15mm)を外すと、

ロックナットと子機が収まる深さを確保できる。

ということで、使用ルーバーは小さい方のWB-27Lを採用。
3 ウオルボックスの加工
1.ルーバーの配置
WB-L27を2組、計4つのルーバーを用意。

これを左右に2か所ずつ、計4つ取り付ける計画。

2.ルーバーの孔あけ
1)位置決め
配置を検討する。

ルーバーは底近くに設置して、その上つまり扉側に子機という納まりにしたい。

また取り付ける際はボックス内でロックナットを廻さないといけない。
その余裕を見込み、底ギリギリより少し上の19-20mmあたりを孔の中心に。

マスキングテープを貼って孔あけ位置をマーキング。

ボックス外面の下端からは約27mm位置になる。

2)孔あけ
孔あけ道具は「ホールソー」と呼ばれるドリル刃。


口径は27mm。

センターのドリル径は6mm。

下孔用に3.6mmのドリル刃も用意。

まず下孔から。

次にホールソーのセンター孔あけ。

柔らかい素材なので力は要らない、でもゆっくりあける。

輪郭ができたら一旦止めて確認。
強引に進めるとプラスチックが割れる危険性もある。

最後もゆっくり進めて開孔。

孔が開いたらルーバーが通るか確認。


4つとも孔あけ終了。


周辺には切削バリが残っているので、ナイフなどで削り落とす。


バリが残っているとパッキンの浮き=漏水につながるので大事な処理。

3)取り付け
ルーバーを取り付ける。

外からルーバー、内からパッキンとロックナットの順。

手でぎゅっと締めこんで完成。

4つの位置は左右対称にした。(ズラした方が通気性が良いという意見もある)

4)ルーバーの方向
ルーバー羽根の取付方向にはルールがあるので取説を確認。

上方から雨がかかっても水が浸入しないような羽根の向きにしておく。


羽根の向きが斜めになっていないかも確認。

4つとも揃っていればOK。

子機用ボックスの設置
1 子機の固定
1.子機の収まり
組み込んだロックナットの上に子機を置いてみる。

蓋もちゃんと閉まることを確認。

次に、子機自体をボックス内に固定する工程。
2.子機の固定方法
1)木台
底からロックナット上端まで約35mm。
なので35mmを超える土台があれば、ロックナットに干渉せず子機を固定できる。
この“土台”を何にするかをいろいろ検討したが、木片で作ることにした。

端材が余ってたのもあるし、小細工がしやすいのも理由。
サイズは適当に40×40×90mmくらいにした。
ただ気を付けるべきは子機の下端に“センサーの穴”があること。
ここだけは塞がないよう、つまり土台が長すぎないように注意した。

木材なのでやっぱり湿気対策は必要。
ということでウレタン塗料のスプレーを吹いては削りを繰り返して表面を固めた。

2)木ネジ
この木台にどう取り付けるかであるが、単純に木ネジで引っ掛けてぶら下げる方法にした。
両面テープも思いつくが、電池交換やリセットボタン操作があるので避けた方がいい。

引っ掛け穴径は4mm。

なので、3.5mmの木ネジを用意。

2mmくらいで下穴をあけて、

木ネジを締めこむ。

木台は強力両面テープ(-20℃~+80℃対応)をしっかり貼ってボックスに貼り付け。

子機裏にある穴にネジ頭を引っ掛けて、

ぶら下げるだけ。

きれいに納めることができた。取り出しもカンタン。

2 ボックスの固定
1.雨除けボックスの設置
完成した子機ボックスを屋外に設置する。
子機(温湿度計)の場所は、地面から1.5m~の高さが望ましいとのことなので、いい高さにある洗濯干し台の支柱に1台めを設置することにした。
固定方法はよくある結束バンド、長さは支柱をぐるっと回せる400mm。
実は色について、なるべく支柱に馴染む色にしようと、もしかしたら一番時間をかけて探したかも知れない。
しかしいいモノが見つからず、中途半端な黄土色みたいな色で妥協した。

ウオルボックスの裏面には結束バンド等を通せるスリットがある。

ここに結束バンドを通して、支柱に抱き合わせるようにくくりつけ。

固定した子機用ボックスの外姿。

子機を収めた様子。

2.雨除けボックスの効果
子機用の屋外ボックスを作った目的は2つ。
(1)子機を雨から守る
(2)ボックス内で外気の温湿度を測る
(1)に関してはほぼOKと想われるが、
(2)の効果は観察してみないとわからない。
そこで子機を2つ並べて、ボックスの内外でどう差がでるのか軽くテストしてみた。
用意した子機は、温度も湿度も同じ値を示す測定差の無い2台。

1台を外に、もう1台をボックス内に置いて観察した。

ボックスの蓋をして約90分放置。
1.気温が上がったお昼ごろ
外の子機は23.1℃、ボックスの子機は25.2℃、ボックス内の方が2.1℃高い。

2.気温がゆっくり下がっていく午後
外の子機は12.3℃、ボックスの子機は12.9℃で、ボックス内の方が0.6℃高い。

観測は最高温度を過ぎた午後から夕方にかけて。
ボックス内はいつも1~4℃高めのまま推移し、気温の降下も落ち着く夕方になるとその差が少なくなり、夜になるとほぼ一緒を示すようになった。
まとめ
良いところ・良くないところ
- ABS製のウオルボックスは加工しやすくDIYに便利〇
- ウオルボックス用ルーバーの性能が良く強雨を経験しても水侵入なし〇
- 気温が高い日中はウオルボックス内温度が外気より2℃~4℃ほど高い×
- 温湿度には関係ないが結束バンドの色に不満×
まとめ感想
1.工作について
DIY製作としてはうまく出来た子機用屋外ボックス。
一見すると中に温度湿度計があるようには見えず、全体的な存在感の無さがよい。
2.性能面について。
かなり期待外れの結果になった。
後々にいろいろ調べ行き着いたた答えは、「外気温度によってボックス内が温まった後も保温された状態が続くため、外気温度が下がる変化にすぐ追従できずに、高い温度を示しながらゆっくり冷めていく」
ということじゃないかと推測。
つまりは空気がうまく入れ替わっていないための温度誤差。
そうなるだろうと予想したので通気ルーバーを設けたのだが、期待したほどの効果が無かったのが結果。
結果、換気ルーバー4個ではぜんぜん足りなかったのだと想う。
おまけ考察
気象観測用の温湿度計が入っている箱で思い浮かぶのはアメダス。
気象筒とも呼ばれていて多くはステンレス製。
日光の輻射熱を防ぐ目的で表面はピカピカ仕上げ。
外壁は空気層をはさむ二重または三重構造。
電動ファンを装備し、約3~7m/sで強制換気をして中の空気を滞留させない様になっている。
昔ながらの気象観測には百葉箱というのもある。
こちらは多くが木製。
やはり日光を反射する目的で真っ白な仕上げ。
こちらも屋根や外壁は空気層をはさみ込む様な二重構造。
電動ファンは(ほとんど)無い代わりに、自然風を入れるため広い面積のガラリを設けている。
この開口の有効面積は全体の表面積に対して約33~45%もあるらしい。
※製造メーカーの資料からの推測
ここで注目したいのは、それらの構造の特徴。
ステンレス製でも木製でも、屋根や側壁が二重または三重構造になっている点。
何故なのかを調べてみると、空気層による断熱効果を考慮してるとのこと。
空気は熱伝導率がとても小さい。
小さいということは熱を伝えにくい、つまり断熱するということでもある。
例えば窓サッシにある『ペアガラス』の例。
窓ガラス2枚の間に空気層(≒12mm)を入れることで断熱性を高めていている。
これと同じ原理なのである。
話を戻して、このABS製のウオルボックス。
こんな小さな箱でも熱伝導率はしっかり絡んでくる。
ABS素材の板にも熱伝導性はもちうろんある。
でも厚みは2~3数ミリ程度、その薄さに比べれば中に入っている空気の体積の方が何十倍も大きい。
つまり留意すべきは箱の中ある空気層のかたまり、これをどう扱うか問題。
この空気が滞留してしまえば防雨ボックスが保温ボックスになってしまうのである。
せっかく作った子機用ボックスだが「ボックス内で外気温を測る」ことができなければ意味が無い。
プロ仕様と同じ構造を真似るのはとうてい困難。
さてこのウオルボックスをどう改造するか・・・
つづく。






