『バッテリー充電器 M8S』充電│放電│レビュー
前回の『バッテリー充電器 M8S』準備編の続き。
実際にLi-Poバッテリーの充電・放電テストをしてみる。
充電テストの前に
1 コネクタの種類
RC模型やドローンなどに使われるLi-Po充電池。
リポ電池のコネクタには、容量や用途によって色々な種類のコネクタがあり(自分も含め)素人にはとても判りにくい。
主なメーカーは3社くらい。(たぶん)
- molexⓇ・・・電気電子機器や光ファイバー接続システムなどを製造するアメリカ企業、PC電源ユニットのコネクタでも有名。
- 日本圧着端子製造株式会社・・・「Japan Solderless Terminal」のJSTⓇコネクタを作る日本企業、中継用L/EL系は別名タミヤコネクターでも有名。
- AmassⓇ・・・XT60やXT30、MR系コネクターで有名な中国系企業。
ToolkitRC M8S 使用方法
今回は単セルの1Sリポバッテリーと3セル直列の3Sリポバッテリーを充電する。
1 1S-LiPoバッテリー
G-FORCEブランドのコネクタ付きリポバッテリーをテストする。
ドローンやRC玩具用の汎用バッテリーである。
単体1セル3.7Vで容量は150mAh。
コネクタにはmolexⓇの中継コネクタ51000系2.0mmが使われている。
1.電源とケーブル
1次側の電源にはToolkitRCのパワーサプライP200を用意。
P200のOUTPUTと本機M8SのINPUTをつなぐ。
パワーケーブルはP200の付属品。
充電器とLiPoバッテリーを繋ぐには汎用品のケーブルを使うが、手持ち充電ケーブルに”molex2.0コネクタ”が入っていなかった。
なので、変換ケーブルを新たに用意する必要が出てきた。
中継する赤いコネクタはJSTⓇRCYの2.5mm、そのもう一端がmolexⓇ51006の2.0mmになった変換ケーブル(写真⇩)をDIYで作った。
2.親電源
M8Sに必要な電源は「INPUT 7~30V」。
今回は標準の12Vにしてテストしたいので、P200の設定を「12.0V」に。
P200の右ジョグダイアルをクリックして給電開始。
同時にM8Sが起動する。
電源ON時の初期画面。
3.充電設定
選択枠が「Charger」になっていることを確認。
右ロータリースイッチをクリックして押し込み設定画面に入る。
そのままロータリースイッチをクリック&回転して「Charge Current」に移動。
ここで充電の電流値を設定する。
※"C ″は電流(カレント)のこと。
今回テストするLiPoバッテリーは150mAhである。
“1Cルール”なら150mAに電流を設定しなきゃいけないのだが、M8S側は0.1A単位でしか設定ができなず「0.15A」のという設定が不可。
0.1Aにするか0.2Aにするか。
仮に0.1Aで充電すれば90分?かそれ以上かかる計算・・・
悩んだがここは0.2Aでいくことにした。
何度も充放電を繰り返す予定はないし、2倍ではなく1.5Cならそう危険な設定でもないし、監視下で充電するので大丈夫だろうと判断。
4.充電
電流値を「0.2A」に設定。
できたらEXITボタンで戻り、一番下の「Charge モード」を選択。
そのままロータリースイッチをクリックして押し込むと充電がスタートする。
電池残量は約51%、設定電流0.2Aで充電をスタート。
約20分で充電が完了した。
充電ストップ設定は4.20V。
(画面は4.19Vになっているが、充電停止時は4.20Vだった)
5.放電
LiPoバッテリーを保管する場合、満タンでも空っぽでもなく中途半端な「3.7~3.9V」にしておくのが電池に優しい保管方法らしい。
というわけで、このM8Sにもある「Stock Charge モード」を試してみる。
テストするLiPoバッテリーは先ほど満充電にしたもの。
数時間は休ませてある。
設定画面の項目で放電の電流値「DisCHG Current」を設定しておく。
今回は初期設定のままで。
設定したらEXITボタンで戻り一番下の「StoCHG モード」を選択。
ロータリースイッチをクリックしてスタート。
数分でストック放電が完了した。
完了電圧は「3.71V」になっている。
ちなみに表示画面の「44℃」はM8S内部温度。
LiPoバッテリーの温度は不明だが、触っても室温と変わらない。
2 3S-LiPoバッテリー
G-FORCEブランドのコネクタ付き3Sリポバッテリーをテストする。
電動ガンなどに使われる高出力バッテリーである。
直列3セル11.1Vで容量は1300mAh。
コネクタは、タミヤ型ミニと呼ばれるJSTⓇELコネクタ。
1.ケーブル
M8S側のXT60コネクタに合わせたマルチ充電ケーブルを用意。
しかしまたしても、手持ち充電ケーブルに”タミヤ型ミニ(JSTⓇEL)”が入っていないので、別の中継ケーブルを介して繋いでやる。
中継ケーブルはTAMIYAミニ↔AmassⓇXT30。
これも自作品。
2.バランスケーブル
バッテリーのコネクタをつなぐとM8Sが起動する。
次に「バランスケーブル」と呼ばれる束線があるので、これをM8Sのバランスポートに挿し込む。
端子はJSTⓇのXH。
ポートは左詰めで使用する。
今回の3Sリポバッテリーの「バランスケーブル」は4芯ケーブルなので、左から4本分の場所にXHコネクタがつながるようにする。
一番左がマイナス(-)線になっていることに注意。
※ 同じ”C”でもカレント(電流)ではないし、パック内で直列か並列かも無関係。
3.バッテリー情報
LiPoバッテリーのパワーケーブルとバランスケーブルをM8Sにつなぐと、バッテリー情報が見られる。
電池残量は43%、総電圧は11.42V。
3S(直列)3セルの各電圧を下から①②③で表示。
写真下⇩の例では、①3.813V ②3.792V ③3.813V となっている。
4.充電
1)バランスボード
M8Sにはバランスポート(port)があるので、LiPoのバランスケーブルを直接つなぐことが出来る。
が、今回あえて「バランス充電ボード(board)」を介して充電してみる。
こちらはPOWER-GENIUSというメーカーの製品。
商品説明には「2~8S」と謳われている。
8Sまで対応!?
ところがボードを見る限り6Sしかないという謎製品。
バランスケーブルを見ても案の定、7芯だけ。
3S-LiPoのバランスケーブルをバランス充電ボードの「3S」の端子に挿す。
2)充電
パワーサプライP200の電源を入れる。
今回は電圧を12.5Vにしてみた。
バッテリーの容量が1300mAhなので、M8Sからの充電電流1Cは1.3Aとなる。
なので変動誤差を見込んで、親電源側は少し多めの1.50Aで給電する。
P200からの給電がスタートするとM8Sは初期画面になる。
ロータリースイッチを押して「Charger」内の設定モードに入り「Charger Current」を1.3Aに設定する。
※LiPoバッテリー容量1300mAh ⇒ 1C充電の電流は1300mA=1.3A
設定を終えたらEXITボタンで戻り一番下の「Charge」を選択してロータリースイッチで決定。
続けて「OK」をクリックして充電スタート。
およそ54分で充電完了。
各セル①②③の電圧は4.20Vに揃っている。
5.放電
満充電した3S-LiPoバッテリーを「Stock Charge モード」で放電する。
設定画面に入り「DisCHG Current」項目で放電電流値を2.0Aに設定。
設定したらEXITボタンで戻り一番下の「StoCHG モード」を選択。
続けて「OK」をクリックして放電スタート。
およそ10分で放電が完了。
3セルは共に3.85Vになっている。
3 サーボテスト
RC模型などのサーボモーター信号(PWM / PPM / SBUS)を計測できる。
ユーザー記事を見ると、なかなか高機能な解析ができるらしい。
しかし残念ながらサーボモータを持っておらずこのテストは出来なかった。
まとめ
使用感
良いところ
- LiPo│LiHV│LiFe│LiIon 多種バッテリーに対応。
- なんといっても小型。持ち運んでも片付けても小さいことは正義。
- 操作がカンタン。ロータリーとEXITの2つしかない。
- カラーTFT液晶が見やすい。
良くないところ
- 細かな電流値設定ができない。0.01Aまで設定したい。
- 40℃になるとファンが煩い。50℃になると何事か?と思うような爆音。
- 入出力端子がXT60しかない。
- 精度が不明。例えば放電圧を3.8Vに設定しても3.8未満になることがある。
まとめ感想
トイR/Cや工作用バッテリー充電のために購入したM8S。
極限的な使い方はしないので、必要にして十分な機能が揃っている。
コンパクトだし操作はカンタンだし、直流パワーサプライP200と一緒になかなか使えるチャージャーと言える。