『壁時計 修理 DIY用 ムーブメント』選び方│その手順
「趣味工作」「自分修理」の記録で始めたDIY-BLOG。
最初の挑戦は・・・『壊れた掛け時計を自分で修理する』。
壊れたのはどこか?
どんな部品が必要か?
どんな手順で直すのか?
初心者目線でまとめてみた。
修理の経緯
202X年02月22日
とつぜんおかしくなってしまった掛け時計。
1分を2分もかけて進む症状が出始めた。
はじめは電池のせいかと考えた。
でも電池を換えても直らない。
ゴミとか何かが浸入したのかと思って様子を見たり、
針をグルグル回してみても直らない。
しばらく悩んで・・・
どうやら針を動かす機械部分 (ムーブメント=movement) の寿命だと判ってきた。
毎日いつも見てきた掛け時計。
20年以上ずっと壊れることなかったのだから長寿命かもしれないけど・・・
愛着もあるので簡単に捨ててしまうのはしのびない。
そんなわけで「自分で修理する」ことになった。
DIY ムーブメントについて予習
初めてなので判らないことだらけ。
ここはGoogle先生に尋ねてみた。
針を動かす機械の部品、これを“ムーブメント”と呼ぶらしい。
ムーブメント?
修理の前に少し勉強することにした。
1 ムーブメントについて
1.秒針の動き
まず、秒針の動き方は2種類ある。
ステップ式・・・1秒ずつカチカチと秒を刻む (秒を目視したいとき便利)
スイープ式・・・秒針が連続して滑らかに回る(カチカチ音がなく静か)
壊れた時計は、カチカチ音がする「ステップ式」だった。
そして「時報を鳴らせるタイプ」だった。
そこで「ステップ式」で楽天やアマゾンを探してみると様々な商品が見つかる。
しかし「時報付き」を探してもDIY用ムーブメントの中には見つからない。
修理部品として売られていなら「新しい時報機能のある時計を買ってムーブメントだけ移植」
とかも考えたが、買いなおしてしまったのでは意味が無い。
2.シャフトの長さ
ムーブメントについてもう1つ判ったこと。
ムーブメントの取り付けは「文字盤を挟むようにしてネジ止めする」構造になっている。
時計の文字盤はメーカーによってデザイン厚みは様々。
なので、修理用DIY用のムーブメントは、様々な文字盤に適合するように、3種類~4種類くらい長さの違う“シャフト”製品が販売されている、ということのよう。
このためDIY交換修理するには直す時計の「厚みに合わせた シャフト長」を選ばないといけない。
写真⇩ 文字盤の厚みとシャフト長の関係

3.メーカー
壁掛け時計ムーブメントを作っているのは、国内ならセイコーが有名。
他にもドイツメーカー製だったり無印メーカー(中華?)もあったりする。
ここで注意するのは、製造元をよく確認すること。
そしてなるべく修理元の時計と同じメーカー製にすること。
例えばSEIKOの時計ならセイコークロック等、CITIZENの時計ならリズムなど。
安いから、見た目同じだからと海外製(中華など)を買わないほうが安全。
今回修理するわが家の壁掛け時計はSEIKO。
国産で手に入りやすいのは「誠時(せいじ)」と「Crea Art(くりえいと)」という2メーカーがあることもわかった。
※2020~2022年時
※ちなみに2022年現在は
セイコークロックは「セイコータイムクリエーション株式会社」
セイコープレシジョンは「セイコーソリューションズ株式会社」となっている。
4.シャフト長
さて今回購入のCreaArtのムーブメントについて。
製品には、文字盤厚に合わせて3種類のシャフト長があった。
- 文字盤が 3mm 以下 ⇒ ショートシャフト
- 文字盤が 3~9mm ⇒ ミドルシャフト
- 文字盤が 10~14mm ⇒ ロングシャフト
注1)シャフトとは文字盤に固定するムーブメントの主軸のこと
注2)主軸の長さが違うだけで3種(ショートミドルロング)の性能は同じ
注3)ムーブメントは壁掛け時計も卓上の置時計 共用(らしい)
注4)ショート、ミドル、ロングと分類しているのはCrea Art製
ウチの時計の文字盤の厚さは3mmでちょうど境界。
ショートかミドルか?
大は小を兼ねてくれるはず?と考え、今回のシャフト長はミドルに決定。
コチコチ音がしないのがいいので、秒針はスイープタイプを選択した。

2 針の軸ついて
今修理では、機械部分の交換はしても、時計の「針」は再使用したい意向。
針もセットで購入になるとデザインが変わってしまうし余計な出費になるのだが・・・結果、
どうやら国内メーカーならほぼ共通規格のようで、針軸の太さは同じらしいことが判って安心した。
DIY 作業前の確認
改めてDIY工作・修理用のムーブメントを観察。
背面には薄く「SKP」の文字がある。

中央に立つネジが切られた銀色の軸が「シャフト」。
このシャフトを文字盤の裏から差し込み、表側から専用ナットで固定する仕組み。

取付方法の説明図で、部品の構成と順番もよく確認しておく。

Ⓒ Crea Art 説明書より
【補足】ゴムパッキン下にある”掛け金具”は今回の修理に必要が無いため使用しない
DIY 作業の手順
1 分解
1. 裏蓋を外す

古いけど愛着ある時計♪

電池を外し 表ガラス枠と文字盤を分解するため木ネジを全てゆるめる。
ちなみ電動ドライバーが1つあると、木ネジを緩めたり締めたり、色々便利。
もちろん普通のドライバーでも簡単。
2.針を外す
針の軸は、ムーブメント中心にあるパイプ状の受け軸に差し込んであるだけ。
ネジや接着剤は使われていないので、道具を使わず、手で引き抜ける。

針は一番上にある秒針から外す。
その次は長針、最後は短針。
針はプラスチック製やアルミ製など折れやすく変形しやすい素材が多い。
なので、中心をそっとつまんで優しく慎重に抜くことを心掛ける。
もし、針が曲がってしまったら?
柔らかいアルミ製なら、そぉっと元に戻してやれば直せるはず。
でも、とにかくていねいに作業を。

上写真のように、秒針の軸に細い金属の“芯棒”が付いているタイプもある。
無いタイプもある。
新ムーブメントにはこの“芯棒”は必要ないので、秒針から芯棒を抜いておく。
3.ムーブメントを外す
1)丸いナットを外す
文字盤側から固定ナットを回して外す。
軽く締められていたせいか、指先でカンタンに外せた。
もし固着して硬く感じたら、ナットにある溝を利用して回す。

2)古いムーブメントユニットを外す
裏側からムーブメントのユニットを外す。
時計本体に黒いユニット(ほぼ長方形のボックス)が爪ではめ込んであるタイプ。
これをマイナスドライバ等を使ってこじ開けるようにして取り外し。

固定ツメを外すと、長方形のユニットが外れてくる。

4.不要の電線を切る
この長方形ユニット中央の内部には“時報回路” の電気部品がついている。
写真⇩ コンデンサとかが移っている部分が時報回路。

この時報回路と下部にあるスピーカーは電線でつながっている。
なのでこの電線を切り離さないと、壊れたユニットを時計本体から切り離せない。
電線を切断?と躊躇うのだが、もう“時報のスピーカー”は使わない予定。
なので、ここは潔く電線を断捨離。
電線を切り離したら、そのままユニットを外してしまえばOK。
2 ムーブメントの交換
1.旧ムーブメントユニット比較
旧ムーブメントユニットは”電池BOX”と一体なので長方形でサイズも大きい。
写真⇩ 上に置いてあるのが取り外した旧ムーブメントユニット。

写真⇧ 下に置いてあるのが、新しく用意したムーブメント。
2.新ムーブメント開封
新しく用意したムーブメントのセットの中身。

ムーブメントのシャフト径は同じ。
また針の軸芯サイズも同じ。

ムーブメント機械部分のサイズも、新旧でほぼ一緒だった。

1)新ムーブメントを取り付ける
文字盤の中央穴に、新しく用意したムーブメントを裏から差し込む。
この時計では、旧ユニットを外した跡が長方形の凹みになっているので、ここに新ムーブメントを収めることになる。
時計本体とムーブメントの間には付属のゴムシートを挟んでおく。
(ゴムシートは緩み防止のためのモノ)

2)注意するポイント(再確認)
ムーブメントのラインアップには『シャフト長』の選択肢がある。
「どのシャフト長にするか? 」はこの段階に影響してくる。

3)適切なシャフト長を選ばなかった悪い例
シャフトが長すぎた場合 ➡ 針と文字盤が離れ表面のガラスに当たってしまう
シャフトが短すぎた場合 ➡ 固定ナットが届かずムーブメントを取り付けできない
・・・ということになる怖れがある。
つまりゴムシートの枚数で文字盤側に出てくるネジ山の高さを変えられる。
もしシャフト長が長すぎる場合、ゴムシート(または代用品)を重ねる枚数で、文字盤上に出てくるネジ山を調整することもできる、ということである。
3)新ムーブメントの固定
ムーブメントシャフトを時計の裏から差し込み、表側(つまり文字盤側)から付属のナットで固定する。
写真⇩ シャフトのネジ山が文字盤上に出ている状態

この状態でナットを締める。
思い切り締め付ける必要は無し。
奥まで手で回し、最後ほんの少しだけ工具で増し締めする程度でOK。
僅かな歪みが機械に影響が出れば、時計が不正確になる怖れもある。
(針が速く進んだり、遅れたり・・・)
なので、緩すぎず強すぎず、適度な力で取り付けを。
精密機械なので扱いはていねいに。
もちろん落としたりなどは厳禁。

3 針の取り付け
固定ができたら、針を戻す。
差し込む順番は、外した順番の逆。
最初に短針、次に長針、最後に秒針。
さきほどバラした“秒針の芯棒”は新しいムーブメントには不要。
ムーブメント中心の秒針軸に、秒針(穴)を直接を差し込めばOK。

4 修理完了
無事3針とも取り付け。
後は元通りにガラスと木枠をかぶせ、裏の木ネジを留めて完成\(^o^)/

まとめ
ムーブメント購入前の下調べに5分+届いてからの交換に5分 作業時間はあわせて10分程度だった。
参考までにこの壁掛け時計の針の長さは以下の通り。
秒針・・・ 15cm
分針・・・ 11.5cm
時針・・・ 8cm
カタログでは月差20secとなっている新ムーブメント。
修理して1週間ほど様子を見てても1秒の狂いもない。
さすがはセイコー製(?)
これでまたしばらく動きつづけてくれる😊
【追記】
それから2か月とちょっと・・・再び修理交換をした。
壊れた後で気づいたのだが(遅い><)
今回の修理時の動作確認でアルカリ乾電池を入れてしまったせいかも。
乾電池の種類は、ムーブメントの取説にある指定に従わなきゃいけない。
再修理の記事は ⇒ こちら。






