国立天文台│NAOJ 監修『 天体望遠鏡』ラッピングシートの貼り方
前回つくってみた国立天文台の監修した天体望遠鏡キット。
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全身が真っ黒なため、オモチャっぽいというかチープ感がハンパ無い。
この見た目を少しでも良くできれば、というのが今回のちょこっと改良計画。
化粧の方法
見た目の印象を変える方法。
①色を塗ってみるか、
②シールやステッカーを貼ってみるか。
簡単なのはやっぱりステッカー貼り。
この方法で化粧直しをすることにする。
1 材料えらび
筒状の望遠鏡にシートを巻く方法を色々考えた。
幅広のマスキングテープ(シート)をぐるぐる巻いて絵柄入り望遠鏡にするとか、何色かを帯状に巻いてカラフル・ストライプにするとか。
考えてはみたが、サイズ計って切り分ける手間を考えだしたらだんだん面倒になってきて、結局はふつうに1色だけのラッピングに思いとどまった。
使用するのはご存知、中川ケミカルのカッティングシートⓇ。
“カッティングシート”は一般名詞かと思ったら実は中川ケミカルの登録商標。
色サイズともたくさんあって、とても便利。
2 材料サイズ
小型の望遠鏡なので鏡筒部の長さは20数センチほど。
シートの大きさはA4サイズ(297×210)で十分。
色は半艶消しの白「シルキーホワイト」にした。
シートの切り出し
1 採寸
シートを巻きたい胴部分の直径は約55mm。
筒の胴囲は 55×3.14=約173mmになるはず。
いちおう巻き尺でも測ってみる。
176??
計算と違うがここは実測の176mmということに。
重ね合わせ代としてプラス4mmを加え、切り出すシート幅は180mmとする。
鏡筒先端の根元から照門ぎりぎりまで貼る予定。
なので切り出すシートの長さは220mmとする。
2 切り出し
1.全体の切り出し
まずA4のカッティングシートを用意。
必要なサイズは 220mm×180mm。
ここでちょっと違和感。
製品シートが直角が出ていない。不良品?
仕方ないので、短辺と長辺が直角線になるよう端を切り落すことから始める。
そのうえで、改めて必要なサイズ 220×180mmを切り出し。
鏡筒先端の根元から照門の根元まで、220mmできちんと合っているか確認。
2.三脚マウント部の切り抜き
シートを鏡筒に一周させる際に問題になるのが三脚台座。
この部分をくり抜いておかなければならない。
1)三脚マウントの採寸
三脚台座の位置は、鏡筒根元から129mm、照門からは91mm。
台座の直径は約37mm。
実際は楕円形になるので、余裕を見て切り抜き直径は40mmとする。
2)カット線の作図
カッティングシートの裏紙に、切り抜き線を描く。
左上の「4mm」はシートの重ね代。
実際の台座部分は楕円形になるはずだが、計算と作図が面倒なので妥協している。
3)三脚マウント部分の切り抜き
シートのカットにはカッティングコンパスを使用。
カッティングシートなんだからカッティグマシンを使いたいところだけど・・・
持っていないので手動で裁断。
円弧部分はコンパスを用い、直線部分はカッターで。
まず片側の切り抜き完了。
同じ要領で反対側も切り抜き。
試着してみる。
写真に見える「点線」が貼り合わせ中心線。
この点線を鏡筒の中心線=プラスチック半筒の合わせ目にあわせる。
マスキングテープで仮固定。
鏡筒を一周させた様子。
まあまあ計算通りになっている。
でもよく見ると切り抜きの誤差も出ている。
修正はやはり必要。
細かい作業は、先細のクラフトハサミで切除。
改めて試着巻きして確認。
シートの貼り付け
1 センターライン出し
カッティングシートは鏡筒の上面から貼り始め、鏡筒の下面へと貼り進める。
なので、シートのセンターを正確にマークしておく必要あり。
鏡筒上面のセンターは“照星”と“照門”を結ぶ線になるが、ちょうどプラスチック筒の合わせ目と同じなので、これをガイドラインにする。
カッティングシートにマスキングテープを貼ってマーキング。
念のため、シート裏面のセンターラインと一致していることも透かして確認。
2 センターの剥離紙
裏紙(剥離紙)を一気に全部はがしてシートを貼るようなことはしない。
貼り始めの始点を決め、少しずつ剥離紙をはがしながら貼り進めるよう準備をする。
用意するのは“1枚切り専用カッター”。
これを使って、シートを切らずに、剥離紙だけを切る。
切り離したいのはシートの貼り始め=センター部分。
つまり、剥離紙を中抜きしたいということ。
カット幅は約2cm。
剥離紙だけの切り離し成功。
3 シート巻き貼り
1.センター位置決め
鏡筒の周りの埃をエアダスターで掃う。
小さなゴミ1つでもシート表面に浮き出てしまうため。
このあたりはスマホ等の保護シート貼りと一緒で注意が必要。
エアダスター缶などが便利。
ホコリを除いたら、中央の剥離紙を剥がす。
先にマーキングした位置を目印にして、シートを正確に鏡筒センターに置く。
シートの接着力は強力ではないので、一度貼ってもまた剥がすこともできる。
照星から照門へのセンターラインに合っていることを確認。
2.貼り始め
センター部分を貼り終えたら、重ね代のない幅の短い方から貼っていく。
少し剥離紙をがはして、その分だけシートを貼る。
歪まないよう、空気が入らないよう、ていねいに貼っていく。
空気が入ったら、一度はがして貼り直す。
ゴミが入っても、一度はがしてゴミを除いて貼り直す。
ここは慎重な作業に徹する。
3.貼り終わり
片方のシート貼りが終わったら、反対側の作業。
同じように、少し剥離紙をはがしその分だけ貼るように貼っていく。
傾かないこと、空気を入れないことはもちろんだが、最後は先に貼ったシートにピタリを重ね合わせなければならない。
三脚台座の手前に来たら、剥離紙を2分割する。
一度に剥離紙をはがしてしまうと、台座周りの収まりとシート同士の重ね合わせ両方に配慮しつつ貼るというに大変な作業になる。
それを避けて、半分ずつ貼っていく作戦。
まず半分を貼る。
台座側と端側の貼り合わせ角が揃うように。
同じように端を揃えながら、もう半分も貼る。
カッティングシートには少し伸縮性があるので、シートを貼っているうちに幾らか伸びてしまうこともある。
このサイズなら1mmも無い誤差だろうが、それでもズレてしまうと見っともない。
短くなってしまったシートを一度はがして伸ばしながら貼ってみたり、長くなってしまったシートに温風を当てながら帳尻をあわせておく。
カッティングシートはヘアドライヤーの熱風で簡単に縮む。
シワ消しはやりやすいが、熱の当てすぎには注意。
とりあえず、鏡筒まわりのシート貼り完成。
4.追加巻き
カッティングシートがまだ余っているので、他に巻けそうな部分に追加してみる。
アイピースアダプタは直線状ではなく円錐台形なので難しいが、ドローチューブのリング部分なら円筒なので巻けそう。
外径は約49mm。
長さと幅を決めて、余ってるカッティングシートから切り出し。
ドローチューブの胴部分にぐるりと一周。
ピント合わせダイヤル前後に2本巻いてみた。
4 完成
なかなかカッコ良くなった。
半艶消し色にしたのが良かった感じ(自己満足)。
学研ULTRA MOON と並べてみる。
上が NAOJ版、下が学研版。
これならどう見比べても遜色ない仕上がり。
まとめ
中川ケミカルのカッティングシートはちょっとした工作にも使いやすい。
強粘着ではないので貼り直しもできるし、糊残りもほぼない。
感想
良くなかったところ
難しかったところといえば、三脚台座の部分。
難しいというより、楕円カットが出来ずに円形のまま切り抜いたが、貼ってみるとやっぱりちょっと違和感のあるカタチになってしまった。
三脚台座っとの隙間も開きすぎてしまって少し不格好。
余裕を見込んで40Φの穴にしたのだが、38ΦでもOKだったと思う。
良かったところ
しかし、やっぱり望遠鏡は白い方がカッコイイ。
今回のちょこっと改良が100点とは全然思わないが、それでもこの程度の手入れで見映えはグっと良くなる。
もしパーツとしてラッピングシートが標準で入っているか、又は外面が初めから白系だったなら、このNAOJ天体望遠鏡はもっともっと人気になっているのではないかな?
と思えたりもする。
別売オプションとして鏡筒ドレスアップ用シートがあってもいいのに。
性能が良ければ外観は二の次? ではない。
そのくらい見た目は重要なのである。